近年、「脳腸相関」という言葉が注目されており、腸内に生息する数多くの細菌(腸内フローラ) が、脳の健康や機能に影響を与えている可能性が指摘されています。腸内フローラのバランスと多様性を整えることが、気分やストレス応答だけでなく、認知症やもの忘れといった脳の疾患の予防に繋がるかもしれません。
腸内細菌は、食物繊維などを分解する際に、短鎖脂肪酸(酪酸など)と呼ばれる物質を産生します。この短鎖脂肪酸は、腸のバリア機能を強化するだけでなく、血流に乗って脳に到達し、脳の炎症を抑えたり、神経伝達物質の合成に関与したりすることで、脳機能に影響を及ぼすと考えられています。また、腸内フローラの異常は、全身の慢性的な炎症を引き起こし、これが脳の炎症(ニューロインフラメーション)を介して認知症の原因となる可能性も示唆されています。
ある研究では、認知症患者と健常者で腸内フローラの構成に違いが見られることが報告されています。脳の健康を維持するためには、腸内環境を良好に保つことが重要です。食物繊維を多く含む野菜、果物、全粒穀物を積極的に摂取すること、発酵食品(ヨーグルト、納豆、味噌など)を食生活に取り入れること、そして過度な抗生物質の服用を避けることなどが、腸内フローラの多様性を高め、脳の健康を守るための重要な提唱となります。
医師 菊池清志
注)本コラムは、情報提供を目的としたものであり、当院・医師の意見・方針を反映したものではございません。
参考文献:(The gut microbiota and the brain: potential implications for neurological disorders)
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