脳梗塞は、脳の血管が詰まることで、神経細胞に酸素や栄養が届かなくなり、壊死してしまう重篤な疾患です。脳梗塞の治療は時間との勝負であり、発症後いかに早く正確に診断し、治療を開始できるかが、患者さんの予後に大きく影響します。近年、この脳梗塞の早期診断をより高精度に行うための新しいMRI技術が注目されています。
脳梗塞が発生した直後(超急性期)には、神経細胞の水分移動に変化が生じます。拡散強調画像(DWI)と呼ばれるMRIの特殊な撮像技術は、この微細な水分の動きの変化を捉えることで、脳梗塞が起こった領域を非常に早期から検出することを可能にしています。さらに、新しい撮像技術を用いることで、神経細胞の血液がまだ流れているが危険な状態にある領域(ペナンブラ)を特定し、どの患者さんに血栓溶解療法などの積極的な治療が最も効果的かを見極めることができるようになりつつあります。
脳梗塞が疑われる症状(片側の手足の麻痺、ろれつが回らない、急なもの忘れなど)が現れた際は、一刻も早く専門医療機関を受診することが絶対的な提唱となります。そして、最新のMRIを含む画像診断を迅速に行い、適切な治療法を選択することが、脳のダメージを最小限に抑えるための鍵となります。この新しい技術の活用は、脳梗塞治療における「Time is Brain(時間は脳)」という原則をさらに強化するものです。
医師 菊池清志
注)本コラムは、情報提供を目的としたものであり、当院・医師の意見・方針を反映したものではございません。
参考文献:(Advanced MRI techniques in the acute stroke setting)
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