こんにちは。画像解析を担当しているスタッフです。当院では、研究目的でのMRIデータ活用を目指し、日々解析環境の整備を進めています。
今回は解析を始めたばかりの頃に私が最初に抱いた疑問と、それを解決してくれたツールについて共有したいと思います。
その疑問とは、大量のDICOMファイルをどうやって解析するのか?ということです。
臨床の現場では、DICOM形式が一般的に使用されているかと思います。
しかし、FSLやSPM、Pythonなどで画像解析を行おうとすると、必ずと言っていいほど「NIfTI(ニフティ / .nii または .nii.gz)」という形式を求められます。
私も最初はNifti自体を知らなかったこともあり、なぜわざわざ変換するのかと思っていましたが、実際に扱ってみるとその理由がよく分かりました。
▼ DICOMとNIfTIの違い
つまり、管理のためのDICOMから計算のためのNIfTIへ変換してあげる作業が画像解析のスタートラインなのです。
最近のMRI装置でフォルダを開くと、DICOMファイルが1つ(もしくは数個)しかない、というケースがありますが、これは、Enhanced DICOMと呼ばれる新しい規格です。
従来の1枚1ファイルではなく、1回の撮像(シリーズ)を全部まとめて1ファイルに格納しています。
DICOM → NIfTI変換において、現在世界中でデファクトスタンダードとして使われているのが、dcm2niixというツールです。
非常に高速かつ正確で、BIDS形式(脳画像データの整理に関する国際標準規格)にも対応したjsonファイルまで出力してくれる優れものです。 もちろん、バラバラのDICOMも、Enhanced DICOMも自動判別して変換してくれます。
当院の解析環境(MacBook Pro )では、コマンドラインからとインストールして使用しています。
1. インストール
Macユーザーの方なら、パッケージ管理ツールHomebrewを使うのが一番簡単です。
Bash
# Mac (Homebrew)
brew install dcm2niix
# Linuxやソースコードから入れたい場合
# GitHub (https://github.com/rordenlab/dcm2niix) から入手可能です
使い方も非常にシンプルです。ターミナルで以下のようなコマンドを打ち込むだけです。
Bash
# DICOMデータがあるディレクトリに移動
cd path/to/dicom_directory
# dcm2niixの基本コマンド
# -z y : 出力を圧縮する (.nii.gz にする)
# -f : 出力ファイル名の指定 (%p=プロトコル名, %s=シリーズ番号)
# -o : 出力先のフォルダ
# 最後 : 入力元のDICOMが入っているフォルダ
dcm2niix -z y -f %p_%s -o ./output_folder ./dicom_input_folder
このコマンドを実行すると、DICOMデータがシリーズごとに変換され、output_folder に .nii.gz 形式のNIfTIファイルとして保存されます。
画像解析は、高度な統計処理やAI解析に目が行きがちですが、実はこうしたデータの形式を整えるという地味な作業が最初のハードルだったりします。
私もこのツールのおかげで、スムーズにFSLなどの解析ソフトへデータを渡せるようになりました。
これから解析を始める研究者の方にとって、この記事が少しでも参考になれば幸いです。
もしよろしければ、当院のMRIを先生方の「第二の研究室」として活用してみませんか?
今回ご紹介したようなデータ変換(NIfTI化)を含め、解析に適した形でのデータ提供も可能です。
※免責事項
本コラムに掲載されているコードや解析手法は、当院の特定の環境(MRI装置、ソフトウェアバージョン等)における検証結果に基づく、個人の学習メモおよび技術情報の共有を目的としています。すべての環境での動作や解析結果の正確性を保証するものではありません。本記事の内容を用いて行われた解析等により生じたいかなる損害・不利益についても、当院は責任を負いかねますのでご了承ください。実際の運用にあたっては、各施設の環境に合わせて十分な検証を行ってください。