韓国で実施された大規模な縦断研究により、中年期の失業が若年性認知症のリスクを有意に増加させることが明らかになりました。この研究では、45~54歳の民間企業従業員113万人以上を平均14年間追跡し、失業と認知症発症の関連を調査しました。その結果、雇用継続群と比較して、失業群では男性で75%、女性で51%の認知症リスク増加が認められました。失業は、2年以内の非自発的な失職と定義され、年齢、世帯収入、居住地域、企業規模、産業部門などの様々な要因を調整した後も、この関連は有意に保たれました。
サブグループ解析では、低所得者、特に50歳未満の男性、50歳以上の女性、第一次産業部門に雇用されている方において、失業後の認知症リスクが特に高いことが確認されました。失業は経済的困難だけでなく、社会的孤立、ストレスの増加、生活習慣の悪化などを引き起こし、これらが複合的に脳の健康に悪影響を与える可能性があります。また、失業による健康保険の喪失や医療へのアクセス低下も、認知機能低下を加速させる要因となり得ます。
この研究結果は、認知症予防において社会経済的要因が重要な役割を果たすことを示しています。中年期に失業を経験した方や、雇用の不安定さを感じている方は、社会的つながりを維持し、新しい活動や学習の機会を見つけることが脳の健康維持に役立つ可能性があります。地域の支援プログラムや再就職支援サービスの活用、趣味やボランティア活動への参加なども、認知機能の維持に貢献することが期待されます。もの忘れが気になる場合は、早めに専門外来を受診し、総合的な評価と適切なサポートを受けることが推奨されます。
医師 菊池清志
注)本コラムは、情報提供を目的としたものであり、当院・医師の意見・方針を反映したものではございません。
参考文献:韓国国民健康保険サービスデータを用いた中年成人における失業と若年性認知症に関する縦断研究
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