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ゾルピデムやベンゾジアゼピン系薬剤の使用と認知症リスクの関連|福岡博多の即日MRI・頭痛外来・もの忘れ外来

睡眠薬・抗不安薬による認知機能への影響

不眠や不安の治療に用いられるベンゾジアゼピン受容体作動薬(BZD)や、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬であるゾルピデムは、臨床現場で広く処方されています。これらの薬剤は、脳内のGABAA受容体という部位に作用し、神経の興奮を鎮めることで効果を発揮します。

しかし、GABA系は記憶や認知プロセスにも深く関与しているため、これらの薬剤の長期使用が将来のアルツハイマー病や認知症の発症リスクを高めるのではないかという懸念が長年議論されてきました。

この重要な問題を明らかにするため、GABAA受容体に影響を及ぼす薬剤(BZD、ゾルピデム、麻酔薬)の使用と、アルツハイマー病および認知症の発症リスクとの関連を調査した19件の研究(対象患者 約295万人)を統合したメタ解析が行われました。

ゾルピデムとBZDで確認された認知症リスクとの相関

メタ解析の結果、GABAA受容体作動薬の使用は、認知症(リスク比 1.15)およびアルツハイマー型認知症(リスク比 1.21)の発症と、統計的に有意な相関関係にあることが示されました。

薬剤別に詳しく見ると、ベンゾジアゼピン受容体作動薬(BZD)の使用(リスク比 1.11)だけでなく、ゾルピデムの使用(リスク比 1.28)も、認知症およびアルツハイマー型認知症の発症と有意な相関が認められました。

藤田医科大学の大矢一登氏は、この結果について「BZDとの相関の効果量よりも、ゾルピデムとの相関の効果量の方が大きかった」と指摘しており、いわゆる「非ベンゾ系」であるゾルピデムの使用にも十分に注意する必要があることが改めて示された、と述べています。

併用療法におけるリスクと臨床での注意点

さらに、ゾルピデムとBZDを併用した場合の解析(1試験のみ)では、認知症およびアルツハイマー型認知症の発症との相関が、単剤使用時よりも大きく(リスク比 1.75)、併用がリスクをさらに高める可能性が示唆されました。

このメタ解析の結果を受け、大矢氏は臨床における注意点を提言しています。BZDについては、以前から依存性が問題視されており、漫然とした長期投与を避けるべきであるとしています 。その上で、今回の研究結果を踏まえ、認知症リスクの観点からも、やむを得ずこれらの薬剤を使用する場合でも「両薬剤の併用は可能な限り避けるべきだ」と考察しています。

ただし、本メタ解析に含まれた研究は観察研究(症例対照研究とコホート研究)であるため、これらの薬剤の使用が認知症の「原因」であると断定するものではない点には、注意が必要です。例えば、不眠や不安という認知症の初期症状(前駆症状)に対して薬剤が使用された結果、見かけ上の相関が生じている可能性(因果の逆転)も否定できません。

とはいえ、これらの薬剤と認知症リスクとの間に統計的な関連が示されたことは事実であり、処方に際しては、そのリスクとベネフィットを慎重に比較検討する必要性を改めて示すものです。

医師 菊池清志

注)本コラムは、情報提供を目的としたものであり、当院・医師の意見・方針を反映したものではございません。 

参考文献: Use of Drugs Affecting GABAA Receptors and the Risk of Developing Alzheimer’s Disease and Dementia: a Meta-Analysis and Literature Review. PMDAからの医薬品適正使用のお願い(2024年5月)

参考文献: Goncalves NG, et al. Neurology. 2025;105;e214023. 

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