片頭痛は、ズキズキする強い痛みに加えて、吐き気や、光・音がつらく感じるなどの症状をともなう頭痛です。月に何度も発作がくり返されると、仕事や家事、学業にも大きな影響が出てしまいます。これまでの治療は、頭痛が起きたときにその都度痛みを止める薬が中心でした。しかし最近は、頭痛の回数や痛みの強さを前もって減らす「予防治療」が大切だと考えられるようになっています。片頭痛には「CGRP(シージーアールピー)」という物質が深く関わっていることがわかってきました。このCGRPの働きを抑える予防薬は、これまで主に注射で使われてきましたが、新たに1日1回飲むタイプの予防薬「アトゲパント::商品名アクイプタ」が登場し、2026年に国内でも承認・発売されました。注射が苦手な方や、飲み薬での治療を希望される方にとって、新しい選択肢となっています。
新しいお薬を安心して使うためには、「長く飲み続けても大丈夫か」がとても大切です。そこで、日本人の片頭痛患者186名を対象に、アトゲパントを約1年間(52週間)飲み続けてもらう試験が行われました。その結果、体調の変化として多かったのは発熱、かぜのような症状、便秘などで、ほとんどは軽いものから中くらいの程度でした。なお、発熱の一部は、試験期間中に受けた新型コロナワクチンの影響と考えられています。副作用などが理由で途中で服用をやめた方は約5%と少なく、お薬が原因とされる重い副作用は見られませんでした。また、肝臓の検査値が上がった方も一部いましたが、重い肝臓の障害につながるような例はありませんでした。
この試験では、頭痛の日数がどれくらい減ったかも調べられました。
しかもこの効果は、飲み始めて1〜4週間ほどの早い段階から見られ、1年間を通じて続きました。頭痛の日が減ることで、日々の生活がしやすくなることが期待されます。片頭痛の予防治療が自分に合うかどうかは、頭痛の回数や体質、ほかの病気やお薬などによって異なります。頭痛でお困りの方は、まずはお気軽に医師へご相談ください。
医師 菊池清志
注)本コラムは、情報提供を目的としたものであり、当院・医師の意見・方針を反映したものではございません。
参考文献:日本人被験者を対象とした片頭痛の予防治療におけるアトゲパント:第III相、非盲検、52週間の延長試験. 日本国内多施設共同長期安全性評価研究(試験登録:NCT04437433データ)
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