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幸せホルモン「オキシトシン」を増やす習慣で脳の神経細胞を守る|福岡博多の即日MRI・頭痛外来・もの忘れ外来

脳を癒しストレスから守る「オキシトシン」の知られざる多機能性

「幸せホルモン」や「抱擁ホルモン」という愛称で親しまれている「オキシトシン」ですが、実はこの物質が、単に気分を良くするだけでなく、私たちの脳そのものの構造を保護し、認知機能を維持する上で極めて重要な役割を果たしていることが、近年の神経科学研究で明らかになってきました。

オキシトシンは脳の視床下部で作られ、心地よい刺激や他者との交流によって分泌されます。かつては出産や授乳に関わるホルモンと考えられてきましたが、現在では脳内の神経伝達物質として、ストレス反応を和らげ、不安を解消し、さらには神経細胞の新生(新しく生まれること)を助ける働きがあることが判明しています。

慢性的なストレスは、脳の記憶を司る「海馬」という領域を物理的に萎縮させることが知られていますが、オキシトシンはストレスによる萎縮に対して「中和剤」のように働きます。オキシトシンが十分に分泌されている状態では、脳内の炎症が抑制され、神経細胞が外部からのダメージに強くなることが示唆されています。つまり、オキシトシンを増やす生活は、そのまま「認知症になりにくい脳」を作ることに直結するのです。

オキシトシン分泌を高める工夫

興味深いことに、オキシトシンの分泌を活性化させる方法は、驚くほど身近で、かつお金もかかりません。これらは現代社会で忘れられがちな、人間本来の「心地よさ」に根ざしたものばかりです。

第一に、身体的な触れ合いと視覚的な癒しです。信頼できるパートナーや家族とのハグ、手をつなぐといったスキンシップはもちろんのこと、犬や猫などのペットと触れ合ったり、見つめ合ったりすることでも、飼い主とペット双方の脳内でオキシトシンが急増することが研究で証明されています。また、意外なところでは、美しい風景を見たり、感動する映画を観たりすること、さらには「推し」の対象を応援するといったポジティブな感情の動きも、オキシトシンの分泌を促すスイッチとなります。

第二に、社会的な繋がりと利他行動です。誰かと楽しく会話をしたり、一緒に食事を楽しんだりする時間は、脳にとっての栄養源です。さらに、「誰かの役に立つこと(ボランティアや親切)」をすることも、オキシトシン分泌を強力に促進させることが分かっています。自分自身が幸せを感じるだけでなく、周囲を幸せにしようとする行動が、結果として自分の脳を若々しく保つという、非常に美しい循環が脳の仕組みとして備わっているのです。

心の安定が脳の未来を明るくする

薬やサプリメントに頼る前に、まずはご自身をリラックスさせ、誰か(あるいは動物)と心を通わせる時間を作ってみてください。

ぬるめのお湯にゆっくり浸かる、好きな香りを嗅ぐ、あるいはマッサージを受けるといった、五感を喜ばせるセルフケアもオキシトシンの分泌を助けます。自分自身を慈しみ、周囲との温かい絆を育むことは、何よりも高度な「脳のトレーニング」なのです。医師 菊池清志

注)本コラムは、情報提供を目的としたものであり、当院・医師の意見・方針を反映したものではございません。

 参考文献:Nagabuchi T, et al. Sci Rep. 2024. / Waseda Univ Study. Med Sci Sports Exerc. 2024.

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