慶應義塾大学の研究チームが実施した日本人患者を対象とした調整間接比較試験により、アトゲパントとリメゲパントという2つの経口CGRP受容体拮抗薬の有効性が比較されました。リメゲパントは2025年9月に日本で承認された、片頭痛の急性期治療と発症抑制の両方に使用できる世界初の経口薬です。この研究では、アトゲパントがリメゲパントと比較して月間片頭痛日数の減少やQOLの改善においてより高い有効性を示す可能性が示唆されました。
12週間における月間片頭痛日数の減少量は、アトゲパント群がリメゲパント群と比較して平均1.33日多く、月間急性期治療薬使用日数においても平均1.97日の有意な減少が認められました。片頭痛特異的QOL質問票における改善も、アトゲパント群が有意に優れており、その差は臨床的に意味のある最小差を上回るものでした。安全性および忍容性については両薬剤間で有意な差は認められませんでした。これらの結果の背景として、投与スケジュールの違いや分子レベルでの受容体阻害能の違いが影響している可能性が指摘されています。
リメゲパントは水なしで飲める口腔内崩壊錠で、発作時の頓服として1回75mg、予防目的での隔日投与が可能です。これまで別々だった急性期治療と予防治療を1つの薬剤で対応でき、慢性片頭痛やトリプタン製剤が効かない方にも有効な場合があります。一方、アトゲパントは1日1回の継続投与により安定した予防効果が期待できます。頭痛外来では、患者さんの片頭痛のパターン、生活スタイル、これまでの治療反応性などを総合的に評価し、最適な治療薬を選択します。慢性的な頭痛にお悩みの方は、専門外来での相談が推奨されます。
なお、アトゲパントは2026年4月に、リメゲパントは2025年11月に、それぞれ薬価基準に収載されています。自己負担額(3割)は、アトゲパント10mg〜60mgで1日あたり約102円〜438円(月額換算で約3,060円〜13,150円)、リメゲパント75mgで1回あたり約877円です。リメゲパントを予防目的で隔日服用する場合、月額の自己負担は約1万2千円〜1万3千円程度となります。両剤とも新薬であるため、既存のトリプタン製剤やそのジェネリック医薬品と比較すると費用負担は大きくなる点に留意が必要です。また、2026年7月現在、急性期治療と予防の両方に承認されているのはリメゲパントのみであり、アトゲパントは予防目的での使用に限定されています(急性期治療については承認申請中)。
医師 菊池清志
注)本コラムは、情報提供を目的としたものであり、当院・医師の意見・方針を反映したものではございません。
参考文献:Expert Review of Neurotherapeutics誌(2026年1月)、慶應義塾大学による片頭痛予防薬の比較研究
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