オランダのティルブルフ大学が実施した研究により、孫の世話をすることが高齢者の脳の老化に良い影響を与え、認知機能低下を防ぐ可能性があることが示されました。英国の高齢者を対象とした長期研究では、2,887名の祖父母を2016年から2022年まで追跡し、孫の世話と認知機能の関係を調査しました。その結果、世話の頻度にかかわらず、孫の世話をしている祖父母は、世話をしていない祖父母に比べて、言語流暢性とエピソード記憶のレベルが高いことが明らかになりました。
研究では、世話をする頻度よりも、世話をすること自体が認知機能に影響を与えるように見えたことが非常に興味深い点です。頻繁に世話をしているからといって必ずしも影響が大きくなるわけではありませんでした。ただし、世話の内容別に検討すると、孫との余暇活動や宿題の手伝いを頻繁に行っている祖父母では、頻度が低い祖父母に比べて言語流暢性とエピソード記憶のレベルが高い傾向が見られました。また、孫の食事の準備や学校への送迎を行う頻度が高い祖父母でも、言語流暢性が高い傾向が認められました。
この研究結果は、孫の世話に関わる経験そのものが、祖父母の認知機能維持に貢献する可能性を示唆しています。世話の頻度や具体的な活動内容よりも、孫と接することで得られる精神的な充足感や、新しい課題に対応することによる脳への刺激が重要な役割を果たしている可能性があります。ただし、支援的な家族環境の中で自発的に孫の世話をする場合と、負担に感じられるような環境で世話をする場合とでは、影響が異なる可能性があることにも注意が必要です。
医師 菊池清志
注)本コラムは、情報提供を目的としたものであり、当院・医師の意見・方針を反映したものではございません。
参考文献:Psychology and Aging誌(2026年1月)、ティルブルフ大学による祖父母の孫の世話と認知機能に関する研究
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