イメージ画像
  • トップページ
  • コラム
  • 住んでいる場所や環境が脳老化に与える影響|福岡博多の即日MRI・頭痛外来・もの忘れ外来
公開日:

住んでいる場所や環境が脳老化に与える影響|福岡博多の即日MRI・頭痛外来・もの忘れ外来

環境要因「エクスポソーム」が神経細胞の運命を左右する

脳の健康を考えるとき、私たちは食事や運動といった「個人の習慣」に目を向けがちですが、実は私たちが住んでいる場所や取り巻く環境、すなわち「エクスポソーム(Exposome)」が脳の老化スピードを決定づける大きな要因であることが分かってきました。

エクスポソームとは、大気汚染、騒音、住環境、緑地の有無、さらには近隣の治安や社会経済的な格差といった、生涯を通じてさらされる環境要因の総体を指します。最新の研究では、大気汚染物質(PM2.5など)が多い地域や、緑が少なく交通騒音が激しい地域に住む人々は、そうでない地域の住民と比較して、脳の神経細胞の老化が加速し、認知症の発症リスクが有意に高いという結果が報告されています。これは、環境ストレスが体内に慢性的な炎症を引き起こし、それが脳という最もデリケートな臓器をじわじわと蝕んでいることを示唆しています。

脳の構造的変化と環境ストレスの密接な相関

脳画像を用いた研究では、騒音や大気汚染などのストレス要因にさらされ続けると、脳の表面を覆う「皮質」の厚みが薄くなったり、脳の深部にある「白質」という配線部分に損傷が生じたりすることが確認されています。特に、社会経済的に恵まれない環境(食料アクセスの悪さや教育機会の不足など)が、脳の機能的ネットワークの分断を引き起こし、認知予備能を低下させることも分かっています。

私たちの脳は、外部からの絶え間ない刺激を処理していますが、それが過度なストレスや有害物質として作用する場合、神経細胞を守るための「修復機能」が追いつかなくなります。住む場所や生活圏が、本人の努力とは無関係に、脳の「健康寿命」を左右しているという現実は、個人のセルフケアの限界と、環境づくりの重要性を私たちに突きつけています。

小さな工夫で環境ストレスを緩和し、脳をリセットする習慣を

とはいえ、住環境を今すぐ変えることは容易ではありません。大切なのは、自分が受けている環境ストレスを自覚し、それを打ち消すような「プラスの環境」を意識的に生活に取り入れることです。例えば、週末には都会の喧騒を離れて緑豊かな公園や森を散歩する(森林浴)、あるいは自宅に観葉植物を置き、質の高い空気清浄機を導入するといった小さな工夫も、脳へのダメージを和らげる効果が期待できます。

当院では、MRI検査で脳の微細な変化を確認するとともに、患者様の生活背景にも寄り添った総合的なアドバイスを行っています。外部のストレスからいかに脳を守り、リラックスした環境を整えるか。それは、食事や運動と同じくらい重要な「脳のメンテナンス」です。周囲の環境に目を向け、少しでも脳に優しい場所で過ごす時間を増やすことが、未来の健やかな脳のために役立ちます。

医師 菊池清志

注)本コラムは、情報提供を目的としたものであり、当院・医師の意見・方針を反映したものではございません。

参考文献:Vaughan L, et al. Alzheimer’s Dement. 2024.



「もの忘れ」に関するお悩みは、当院の「もの忘れ外来」へお気軽にお越しください。

Web予約