高血圧は、心臓病や脳卒中のリスクを高めることで広く知られていますが、近年では、認知機能への影響にも注目が集まっています。特に、高血圧を抱える方々にとって、その治療を長期にわたり継続することが、認知症やもの忘れの発症リスクをどの程度減少させ得るのかは、重要な関心事です。
高血圧の状態が長く続くと、脳の血管に負荷がかかり、細い血管が損傷を受けたり、動脈硬化が進んだりすることが分かっています。この血管のダメージは、神経細胞への酸素や栄養の供給を妨げ、結果として、記憶力や思考力を司る脳の領域に悪影響を及ぼすと考えられています。特に、脳の深部にある白質という部分に小さな梗塞ができやすくなり、これが認知機能の低下、つまりもの忘れの進行と関連している可能性が指摘されています。
ある研究では、高血圧の治療を継続している集団は、治療を受けていない集団と比較して、認知症発症リスクが有意に低いことが示されました。これは、血圧を適切にコントロールすることで、脳の血管への慢性的な負荷が軽減され、認知機能の保護につながっていると解釈できます。治療薬による血圧管理に加え、塩分摂取の制限、適度な運動、禁煙といった健康的な生活習慣を併せて実践することは、脳の健康を長期的に維持するための重要な提唱です。高血圧と診断された方は、担当医の指導のもと、治療を継続することが認知症予防の一歩となります。
医師 菊池清志
注)本コラムは、情報提供を目的としたものであり、当院・医師の意見・方針を反映したものではございません。
参考文献:Systolic Blood Pressure Control and Risk of Dementia
「もの忘れ」に関するお悩みは、当院の「もの忘れ外来」へお気軽にお越しください。
Web予約