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気圧の変化と片頭痛発症の関連についての国内大規模データ解析|福岡博多の即日MRI・頭痛外来・もの忘れ外来

片頭痛患者を悩ませる「天気痛」の研究

片頭痛に悩む人の中には、「天気が悪くなると頭痛が起きる」「台風が近づくと調子が悪い」など、気圧の変化が症状の引き金になると感じる方が少なくありません。しかし、この「気圧と片頭痛」の関連性については、個人の体感が先行しており、大規模なデータに基づいた客観的な証拠は限られていました。

この関連性を明らかにするため、獨協医科大学の研究者らは、日本の大規模な健康保険請求データベース(JMDC)と気象データを照合する、後向きコホート研究を実施しました。

研究では、片頭痛の診断歴を持つ患者2万6,777人が対象となりました。研究チームは、片頭痛の「発症」を「(その季節で)初めてトリプタン製剤(片頭痛治療薬)が処方された日」と定義し、その発症までの期間を、気圧変化が最も大きい季節と、最も小さい季節とで比較しました。

季節による気圧変化と頭痛発症リスクの分析

分析対象となった8つの地域すべてにおいて、気圧変化が最も小さかったのは「夏季」でした。一方、最も大きかったのは7つの地域で「冬季」、1つの地域で「秋季」でした。

まず、生存曲線(季節の初日からトリプタン処方までの期間)を比較したところ、気圧変化が最も大きい季節と小さい季節との間で、片頭痛発症までの期間に明確な差は認められませんでした。

次に、性別や年齢など他の要因の影響を考慮したCox回帰分析が行われました。性別と年齢のみを調整した最小調整モデルでは、気圧変化が大きい季節のハザード比は0.970と、わずかにリスクが低いという結果でした 。しかし、8つの共変量(他の影響しうる因子)を含めて調整した完全調整モデルでは、ハザード比は1.294(95%CI:1.007~1.663)となり、気圧変化が大きい季節に片頭痛が発症しやすい(トリプタンが処方されやすい)という、逆の結果が示されました。

「有意な関連なし」の結論と、カギを握るデータ精度の課題

このように、統計モデルによって相反する結果が示されましたが、研究者らは最終的に、「本研究では、気圧変化の大きい季節と片頭痛発症との間に(一貫した)有意な関連は認められなかった」と結論付けています。

この結論に至った理由の一つとして、データの限界が考えられます。今回の分析は、医療機関の所在地に基づいた「地域」単位(例:関東地方など)で行われており、個々の患者が住む市町村レベルでの詳細な気圧データとは必ずしも一致しません。

研究者らは、この関連性をより正確に評価するためには、「都道府県レベルを超えて、より詳細な居住地データを検討する必要がある」と、今後の研究に向けた課題を述べています。多くの患者さんが日常的に感じている「気圧と頭痛」の関連を科学的に証明するには、より精度の高いデータ設計が必要なようです。

医師 菊池清志

注)本コラムは、情報提供を目的としたものであり、当院・医師の意見・方針を反映したものではございません。 

参考文献: Tatsumoto M, et al. Front Neurol. 2025;16:1600822. 

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