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脱力とは

「脱力」とは、医学的には筋力が低下した状態を指します。患者さんが「力が入らない」と感じる場面には、以下のようなものがあります。

  • 手に力が入らない
    • 食事の際に箸やコップを落としてしまう
    • 字がうまく書けない、ペンを握りにくい
    • 腕がだるく、上げたまま保持するのが難しい
  • 足に力が入らない
    • 立ち上がろうとしても、思うように体に力が入らない
    • 歩いているともつれたり、つまずいたりする
    • 階段の上り下りがつらい

原因別 脱力の種類

①脳・脊髄が原因の脱力(中枢神経)

 脳梗塞や脳出血、脳腫瘍、脊髄の損傷など、神経の司令塔である「中枢神経」に原因があります。後遺症につながる可能性があり、最も迅速な対応が求められます。

主な症状:体の片側(右半身または左半身)に突然、脱力が現れるのが特徴です。多くの場合、しびれや感覚障害、ろれつが回らない、めまいなどを伴います。

② 末梢神経・筋肉が原因の脱力 

脊髄から筋肉へ指令を伝える「末梢神経」や、指令を受け取って実際に動く「筋肉」の病気が原因です。

主な症状:

  • 特定の筋肉だけ力が入りにくくなります(例:「まぶたが下がる」「手首がだらんと下がる」)。
  • 全身の筋肉が徐々に、または左右対称に弱くなることもあります。代表的な病気に、ギラン・バレー症候群や重症筋無力症などがあります。

③ 神経・筋肉以外の病気が原因の脱力

 直接的な神経や筋肉の病気でなくても、全身の状態が脱力を引き起こすことがあります。

主な症状:「だるくて力が出ない」といった、全身倦怠感に近い感覚を伴うことが多いです。原因には、重度の感染症、心不全、電解質異常(脱水など)、内分泌疾患(甲状腺機能の異常など)が考えられます。


急に手足に力が入らなくなった、ろれつが回らないといった症状は、決して軽視してはいけない体からの警告です。早期の診断と治療は、後遺症を最小限に抑えるためにも非常に重要です。「疲れているだけだろう」と自己判断せず、不安な症状があれば、まずはお気軽に当院の脳神経外科にご相談ください。