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天然還元水で高齢者の認知機能改善の可能性

活性酸素を抑え、老化や認知症の予防に

最近の研究で、天然還元水(活性水素水)を飲むことで、高齢者の注意力や短期記憶(ワーキングメモリー)が改善する可能性があることがわかってきました

天然還元水とは、自然の地下水などに含まれる活性水素(水素ラジカル)を含んだお水です。特に日本では、大分県日田市の「日田天領水」が有名で、市販もされています。このお水は、体の中で悪さをする活性酸素(酸化ストレス)を抑える働きがあると考えられています。活性酸素は老化や認知症、生活習慣病の原因の一つとされており、それを抑えることで脳の働きを守る可能性が注目されています。

注意力と短期記憶(ワーキングメモリー)に改善効果

研究チームは、健康な高齢者79人を対象に6ヵ月間の実験を行いました。参加者は、毎日1リットルの水を飲むグループを2つに分けました。1つは天然還元水(日田天領水)、もう1つは普通の水道水を飲むグループです。どちらを飲んでいるかは本人にもわからないように工夫されました。

飲み続けた結果を、6ヵ月後に認知機能の検査(注意力、短期記憶、計算力、言葉の流暢さなど)と心理的な検査(ストレスや幸福度など)で評価しました。

結果、天然還元水を飲んだグループでは、2つの項目で、飲む前よりも明らかに良い結果が出たことが分かりました。

  • 注意力(TMT-Aという検査)
  • 短期記憶(数字を覚えるテスト)

ただし、記憶力や言葉の流暢さ、ストレス、幸福感など他の項目では大きな差はありませんでした。

研究者は、「天然還元水を毎日飲むことで、高齢者の脳の働き(特に注意力と短期記憶)を維持したり、改善する可能性がある」とまとめています。特に認知症予防のために、体への酸化ストレスを減らす飲み物として期待されています。

今回の研究にも課題はあります。例えば、

  1. お水以外の飲み物(お茶やコーヒーなど)の影響は調べていない
  2. 食事や運動、睡眠など生活習慣の影響は考慮されていない
  3. 血液検査などで体の変化は調べていない

などがあり、まだこの結果だけで「絶対に効果がある」とは言い切れません。

天然還元水を普段の水に取り入れ、脳の働きを守りましょう

天然還元水は、普段の水の代わりに飲むだけで酸化ストレスを減らし、脳の働きを守る効果が期待されています。特に高齢者にとっては、注意力や記憶力の維持のために役立つかもしれません。ただし、生活習慣や食事、運動も大切なので、バランスの良い健康習慣とあわせて取り入れるとよいでしょう。

菊池清志

注)本コラムは、情報提供を目的としたものであり、当院・医師の意見・方針を反映したものではございません。

※東北大学の研究チームが発表、Heliyon誌に2024年に掲載