片頭痛は、多くの方を悩ませる慢性的な頭痛の一種です。ストレスや睡眠不足、不安など、様々な要因がきっかけで起こるといわれています。 身近な飲み物であるコーヒーは、この片頭痛と複雑な関係があることが知られています。コーヒーに含まれるカフェインは、急な頭痛の痛みを和らげる働きがある一方で、毎日飲んでいた人が急に摂取をやめると、かえって頭痛を引き起こすこともあります。
このように片頭痛との関係が単純ではないコーヒーですが、予防的な効果についてはどうなのでしょうか。この点を明らかにするため、中国で遺伝情報を用いた大規模な調査が行われました。 その結果、日常的にコーヒーを飲む習慣のある人ほど、片頭痛になるリスクが低い傾向にあることが示されました。これは、コーヒーが頭痛の予防に役立つ可能性を示唆するものです。
さらに詳しく分析すると、コーヒーに含まれる全ての成分が同じように働くわけではないことも分かってきました。 例えば、カフェインが体内で分解されてできる物質は、片頭痛のリスクを下げる方向に関連していました。一方で、ポリフェノールの一種である別の成分は、逆にリスクを上げる方向に関連している可能性が示唆されました。このように、コーヒーが片頭痛に与える影響は、成分によって異なるようです。
今回の研究結果は、コーヒーやその特定の成分が、片頭痛の予防に役立つ可能性を示しており、将来的に食生活を通じた新しい予防法のアドバイスにつながるかもしれません。 研究者たちは、コーヒーの効果が脳の中で神経の働きを調整する「アデノシン」という物質に関係しているのではないかと考えています。この詳しい仕組みを解明するため、今後のさらなる研究が期待されます。
菊池清志
注)本コラムは、情報提供を目的としたものであり、当院・医師の意見・方針を反映したものではございません。
注)本コラムは、中国の研究者らによるメンデルランダム化解析を用いた調査を基に作成しました。