片頭痛は、不適切な薬物治療、不安、睡眠障害、うつ病、ストレスなど、さまざまなリスク因子の影響を受ける慢性的な神経疾患です。コーヒーは多様な生理活性作用が報告されており、急性片頭痛の症状緩和に役立つといわれていますが、長期にわたる摂取を中止した場合、予期せぬ片頭痛の誘発につながる可能性があります。片頭痛患者の一部は、カフェインを潜在的な誘発因子として捉えていますが、カフェインの片頭痛予防効果はいくつかの研究で示唆されています。コーヒーとその成分が片頭痛に及ぼす複雑な生理学的・薬理学的メカニズムは、依然として十分に解明されていません。そこで、中国においてコーヒーとその成分が片頭痛発症リスクに及ぼす影響を明らかにする目的で、メンデルランダム化(MR)解析を用いた調査が実施されました※。
研究者たちは、「今回の結果から、コーヒーやその成分が片頭痛の予防に役立つ可能性があることがわかり、食生活に関する有益なアドバイスにつながるかもしれない」としました。また、「コーヒーの効果は、脳のアデノシンという物質(神経の働きを調整する物質の一つ)に関係している可能性があり、根底にあるメカニズムの解明に今後さらに詳しい研究が必要だ」とまとめています。
菊池清志
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※Neurological Research誌オンライン版2025年4月20日号の報告より