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認知症の45%は予防することがができ、何歳からでも予防可能

最近の研究(Nature Medicine誌 2025年1月13日)によると、アメリカでは2060年までに認知症になる人数が、今の2倍の100万人になると予測されています。日本でも高齢化が進み、60歳以上の人が生涯のうちに認知症になる可能性は55%といわれています。これは少し怖い数字に感じるかもしれませんが、実は医療の進歩などで長生きできる人が増えたことが一つの理由です。つまり、心臓病やがんで若くして亡くなる人が減ったため、認知症になる可能性の高い年齢まで生きられる人が増えたのです。

認知症は特に高齢者に多い病気で、75歳では約4%、85歳では20%近くの人が発症するといわれています。しかし、 研究では、認知症の約45%は生活習慣の改善などで予防や発症を遅らせることができるとされています。具体的には次のような取り組みが効果的です。

認知症を防ぐためにできること

  • 質の高い教育を受け、中年期には認知能力を刺激する活動を行う
  • 難聴の場合には、補聴器を利用できるようにし、有害な騒音への暴露(ばくろ、さらされること)を避ける
  • うつ病を効果的に治療する
  • コンタクトスポーツ(競技者間の接触があるスポーツ)をするときや自転車に乗るときには、ヘルメットや頭部保護具を使う
  • 運動をする
  • 喫煙を減らす
  • 高血圧を予防・治療する
  • 中年期以降の高コレステロールを予防・治療する
  • 糖尿病の予防・治療をする
  • 健康的な体重を維持する
  • 過度な飲酒を減らす
  • コミュニティ活動への参加を通じて社会的孤立を予防する
  • 視力低下の予防・治療をする
  • 大気汚染への暴露を避ける

また、薬による治療も進歩しています。高血圧やコレステロールを下げる薬は認知症予防に役立つと考えられています。最近では新しい薬が開発され、将来的には発症前に予防することも目指されています。

認知症について心配しすぎる必要はありません

 認知症と診断されることを怖がって受診をためらう人もいますが、早めに相談することでできることはたくさんあります。生活習慣を整えたり、家族や専門家の支援を受けたりすることで、安心して暮らし続けることができます。

大切なのは、現実を受け入れ、できることから始めることです。無理のない範囲で、自分に合った対策をとっていきましょう。健康な心と体を保つことが、認知症の予防につながります。

菊池清志

※本コラムは、情報提供を目的としたものであり、当院・医師の意見・方針を反映したものではございません。