最近の研究 ※で、週に1〜2回しか運動しない「週末運動タイプ」の人でも、全く運動しない人に比べると、高齢になっても頭の回転の速さ(認知機能)が保たれやすいことがわかりました。
これまで、健康のためには週に3回以上運動した方が良いと言われてきました。しかしこの研究では、忙しくて平日に運動する時間が取れない人でも、週末にまとめて運動するだけで、将来の軽度認知障害(MCI)になるリスクが減ることが示されています。
メキシコに住む50歳以上の約1万人を対象に、1998年から20年以上にわたって健康状態を継続調査しました。対象者は、運動の頻度によって以下の3つのグループに分けられました。
そして、最終的に認知機能の検査(MMSE)を行い、頭の働きが低下していないかを調べました。
期間中に、認知機能が低下した人の割合は、
特に、運動しない人に比べて週末運動グループは25%、定期的に運動するグループは11%も認知機能が保たれる可能性が高いことがわかりました。つまり、週末にだけ運動をする人でも、頭の働きを守る効果が期待できるということです。研究者は、「すべての中高年の人が週に1〜2回でも運動する習慣をつければ、認知症の予防に役立つ」と話しています。
運動をすると、脳に良い物質(神経成長因子など)が分泌され、脳の働きを助けてくれると言われています。これが、運動が認知機能の維持や脳の健康に役立つ理由のひとつです。
また、運動は血流を良くしたり、ストレスを減らしたりする効果もあり、これらが脳の健康を守る手助けをしている可能性が高いと考えられています。
今回の研究結果から、忙しくて運動の時間が取れない人でも「週末にまとめて運動する」だけで、将来の認知症リスクを減らせるかもしれないことがわかりました。無理に毎日運動しなくても、週に1〜2回でも運動をすることで、脳と体の健康を守ることができそうです。ウォーキングや軽いジョギング、体操やストレッチなど、自分が無理なく続けられる運動を週末に取り入れてみてはいかがでしょうか。続けることが大切です。
菊池清志
注)本コラムは、情報提供を目的としたものであり、当院・医師の意見・方針を反映したものではございません。
※British Journal of Sports Medicine誌 2024年 10月29日より