運動は健康にとても良いことは、よく知られています。しかし、忙しい毎日の中で「平日に運動する時間がない」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。そんな方に朗報です。最新の研究※ によると、週末に1日か2日まとめて運動する人たちも、1週間を通して少しずつ運動している人と同じくらいの健康効果があることがわかってきました。
2024年9月に発表された研究によると、1週間に150分(2時間半)以上の運動ができていれば、それが週末に集中していても、毎日少しずつでも、健康への良い効果は同じという結果が出ました。この運動によって、糖尿病や高血圧、心臓の病気、精神的な不調など、200以上の病気のリスクが下がっていたそうです。
また、別の研究では、週末だけ運動する人でも、認知症やうつ病、脳卒中など脳に関係する病気のリスクも下がることがわかりました。
研究者によると「健康に良いのは運動をどのように行うかよりも、1週間でどれくらい運動するか(総量)の方が大切」だそうです。特に注目されたのは、2型糖尿病の予防効果でした。週末だけ運動する人でも、糖尿病のリスクは43%減り、毎日少しずつ運動している人は46%減っていたとのことです。
また、運動をすると気分がよくなることも分かっています。週末に外で体を動かすだけでも、ストレス解消やメンタルヘルスの改善効果があるそうです。
健康に良い運動は「中くらいの強さ」から「少しきつい運動」が効果的とされています。ウォーキング、軽い水泳、庭仕事などは中くらいの強さ。ランニングや早歩き、ダンスなどは少しきつめの強さです。こういった運動を、週に2時間半以上行うことが目安です。
週末に急に運動をたくさんすると、筋肉や関節に負担がかかり、けがのリスクが高まることがあります。運動を始める前は、ストレッチや準備運動を行うようにしましょう。また、普段から平日に軽い運動(ヨガや散歩など)を取り入れると、週末の激しい運動でもけががしにくくなります。
特に糖尿病や高血圧がある人は、医師と相談しながら無理のない範囲で運動することが大切です。毎日の食後に軽く歩くだけでも、血糖値の改善や認知症予防につながることがわかっています。
運動は、週末だけでも、1週間に少しずつ行っても、健康に良い効果が得られることがわかってきました。平日が忙しくても、週末の時間を上手に使って、楽しく運動を取り入れてみましょう。無理のない範囲で、継続することが健康維持のコツです。運動習慣は、心と体の両方の健康を守ってくれます。
菊池清志
注)本コラムは、情報提供を目的としたものであり、当院・医師の意見・方針を反映したものではございません。
※2024年9月26日「Circulation」誌より