筑波大学の研究グループが、高齢者が行っている運動やスポーツの中で、フレイル(心身の衰え)を予防する効果が高い種目を調べました。65歳以上の地域に住む約7万人を対象に、3年間調査が行われ、どの運動やスポーツが健康維持に役立つのか詳しく分析されました※。
対象者は年に数回以上、地域のグループに参加して運動・スポーツをしている高齢者で、調査は2016年と2019年に行われました。参加者の健康状態を「基本チェックリスト」という25項目の質問で評価し、3年間での変化を比較して効果を調べました。
その結果、フレイル予防効果が高い運動・スポーツの上位が明らかになりました。
1位:「ダンス」
2位:「サイクリング(自転車)」
3位:「水中運動(アクアビクスなど)」
ほかには「登山・ハイキング」「ゴルフ」「卓球」「散歩・ウォーキング」「ランニング・ジョギング」「テニス」「グラウンド・ゴルフ」「筋トレ」が上位に入りました。
1位:「登山・ハイキング」
2位:「散歩・ウォーキング」
3位:「テニス」
ほかには「水中運動」、「ダンス」、「体操」、「卓球」、「サイクリング」が上位に入りました。
男性は特にダンスが、女性は登山・ハイキングが、心身の衰えを防ぐのにとても効果的だったことがわかりました。これは運動の内容が、筋力やバランス感覚、柔軟性、持久力などを総合的に鍛えられるからだと考えられます。
また、ランキングの上位に入らなかったスポーツでも、ゲートボールやサイクリングなどは参加人数が少ないため統計的に明確な差は出なかったものの、フレイル予防に効果があると考えられています。
今回の研究で、地域に住む高齢者がどのような運動やスポーツを行うと健康維持に役立つかが明らかになりました。これから運動を始めたいと考えている高齢者の方には、このランキングを参考にして、自分に合った楽しい運動を無理のない範囲で取り入れることがおすすめです。
身体を動かすことで体力維持だけでなく、人との交流も増え、心の健康にもつながります。運動は続けることが大切ですので、自分が楽しめる種目を選んで無理なく続けていきましょう。
菊池清志
注)本コラムは、情報提供を目的としたものであり、当院・医師の意見・方針を反映したものではございません。
※Eur Rev Aging Phys Act誌 2024年